2023年12月2日16:00〜17:30、早稲田大学にて行われた鴻巣友季子先生の講演会「翻訳の忠実性と透明性の間で」を聴講してきました。
翻訳という作業には常に、原文に忠実(日本語としては多少違和感があっても)であるべきか、それとも日本語としての読みやすさを優先すべきか?というジレンマがついて回ること、そしてそれは日本語と英語が文法の面でも発音の面でも対極にある言語だからこそ、致し方ないことであることを、改めて考えさせられました。
実務翻訳においては、あくまでもリーダビリティ(日本語としての読みやすさ)が優先されるべきだと考えていますが(不自然な、わかりにくい訳が多すぎる…)、文芸作品はあくまでも唯一無二の芸術。著者の意向を完全に無視した、「読みやすさだけを重視した表面だけそれっぽい訳」には、気をつけなければならないですね。
「忠実性と透明性のバランス」は非常に難しいテーマではありますが、少なくとも「作者が現在形で表現している理由をしっかりと考えることもせずに、ただ体裁を整えるためだけに過去形に変える」ようなことは避けたいと、改めて思いました(何なら本人に連絡をとってでも←存命の場合ですが「この時どんな気持ちでしたか?」と確認したい私に限ってはそういったことはないとは思いますが)。
鴻巣先生いわく「翻訳とは9割は読む作業」であり、的確に読むことが何より一番大事とのこと。初心に戻って、しっかりと原文を読むことをしたいなと思いました。
明日は『チャーリーとチョコレート工場の秘密』を読むレッスンですね。同じロアルド=ダールの作品でも、先月まで読んでいた『マチルダ』に比べると、圧倒的にそういった表現は少なく(今のところ)、だいぶ読みやすいと思います。お時間の合う方はぜひ!!鴻巣先生も「日本語には罵倒表現が極めて少ないため翻訳しにくい」と仰っていましたが、『マチルダ』は本当に大変でした😅
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